アンプよもやま話
巷のオーディオの世界では、
アンプというものは、
周波数特性がフラットで、
歪がなくて、
ノイズがない。
というのが理想とされています。
これは、増幅器という概念では理想ですが、
音という概念で見ると、
非常につまらないものだと思うのです。
確かに、TR-01という化け物級のDCアンプ(ヘッドフォン用)
を作りましたが、モニターにはもちろんいいです。
でも、割とパワーのあるプレーヤーなんかにつなぐと
「何も音が変わらない」
のです。もちろん、コンデンサとかで色づけはありますが、
高増幅率高帰還のいわゆるオペアンプ的なものでは、
色づけというよりS/Nの劣化のほうが顕著で、
これに金をかけるのももったいないなぁ。と思ってしまいます。
あくまで私の考えですが、
ヘッドフォンアンプに至っては、エフェクターに近いと思うのです。
もちろんパワーのあるアンプで正確にヘッドフォンをモニターしたい時、
それはオペアンプでいいのですが、
私が真空管を使うのは、ノスタルジックでも奇をてらったのでもなく、
その偶数次倍音歪特性にあるのです。
TUシリーズを試聴していただいた方は、
よく、「高音のヌケがいい」とおっしゃってくれます。
しかし、私も驚いたのですが、
周波数特性を測ると、高域に持ち上がりはないのです。
じつは、例えば1Khzの音に、2K,4Kと倍音が重なるので、
結果的に高域の量感が増して感じるのです。
また、増幅率が低く、帰還を多くしないことは、
音の時間軸での濁りがなくなります。
どうどう巡りがなくなるからです。
タイムドメイン特性といいますが、これがいいと、
音の立ち上がりが鋭くなり、くっきりと輪郭を出します。
しかし、
帰還を少なくすると、増幅素子の特性がまる裸になります。
普通のオペアンプ、結構高級なオペアンプでも、
裸の特性は恐ろしいほど悪いのです。
比べて、真空管というデバイスは、
非常に線形性が良い素子なのです。
なので、そのまま裸で使っても、音になるのです。
逆に言えば、真空管の銘柄を換えると音もガラッと変わります。
これは、一眼レフカメラのボディとレンズのようです。
もちろん真空管がレンズです。
キレのいい球、柔らかな球、低音が強い球、高域が綺麗な球、
実に様々です。これにハマると抜け出すのは厳しいです。
ですから私は、TUシリーズを検討されるお客様には、
一番最初に言ったような、ピュアさを追求するお客様には、
真空管はやめた方がいいですよ、と言います。
それは、「こんなものアンプじゃねぇ」と言われるのが嫌
というのと、
底なしのディープな世界に引きずり込んでしまって、
責任とってくれ!と言われても、私には救えないからです。









